サバイバルファミリー
本日はこれ。
「サバイバルファミリー」
今年の2月公開作品で、僕は公開中アメリカにいたため劇場で見れず、つい最近DVDで観ました。
監督は矢口史靖。
ウォーターボーイズ、スウィングガールズ、ハッピーフライトなど毎回ユニークな題材が多く、ヒット作を多く生み出している監督です。
前作WOOD JOBは矢口作品でもかなり良くて、僕の中ではその年の邦画で1位だった記憶があります。
そんな矢口監督の本作はサバイバルとこれまた気になるテーマです。
サバイバルにもゾンビもの、戦争もの、などいろいろありますが、本作は1番身近であろうで災害サバイバルです。
以下ストーリー
ある日、突然電気がなくなり、電気ガス水道全てが停止。
都会に住む主人公一家はマンション住まいのためエレベーターも水道もガスも使用できない。母の実家に帰省する事になるが、飛行機も飛んでいないため、自転車で鹿児島へ向かうことに。
通貨や紙幣、ブランド物は全く役に立たず、人々は物々交換でしのいでいる。
高速道路を自転車で西へ進み、いろんな人々と出会いながら、鹿児島へ到着する。
急に電気が使えなくなり、生活が一変して大阪より西はまだ電気が使えるといううわさを聞いておかんの実家でもある鹿児島へ向かう話なんですけど、こういう設定1つでおもしろそうだなと思わせるところは矢口作品らしいです。
とにかくこの映画の主人公の家族がダメダメなんですよ。
THE現代人みたいな、今の一般人を描いてるようで、このサバイバル力がない人達が準備も知識もなく飛び出しちゃうとどうなるのか?という弱者のサバイバル、今までに意外となかったパターンじゃないのかなと思います。
たしかに自分も急にサバイバルしろといわれたら、火も多分見よう見まねで起こせへんやろうし、、、
つまり鈴木一家はほとんどの観客と同じ立場なんですよ。
それにしても知識無さすぎなんですけどね(笑)
あとこの家族、あんまり仲が良くないんですけど、これもよくありそうな家庭というか、おそらく平均的な一般家庭を描いてるんですけど、鈴木一家は世界が崩壊して、いろんな苦労を共有して初めて仲良くなります。
結構追い込まれるんですけど、それぐらいの衝撃が無いとあの家族は仲良くならない。
なかなかの皮肉ですよねー。
でも実際そういうとこありそうじゃないですか?(笑)
さてストーリーの方ですが、朝起きると急に電気が全く使えないんですけど、理由がわからないんですよ。
でも東京という大都会で電気が急に使えなくなるってなんかの間違いだと思いますよね。
だから明日には直ってるだろと楽観視しているけど一向に直る気配がない。
目覚まし止まってる。
うちのとこだけだろ。
エレベーターも止まってますやん。
えっここらへんのマンションも?
電車もかいな。
え、こんなにやばいの?
とどんどんなってくるんですよ。
鈴木一家だけの視点でしか状況がわからないんですけど、このじょじょに加減が非常にリアルで怖いんですよ。
静かに消えゆく日常みたいな。
意外と今までになかったアプローチじゃないんでしょうか?
そしてなんの準備もしていない、危機意識が全くないからこそ怖い訳です。
ここまでは結構リアルというか、実際にありえそうで面白いです。
自分ならどう考えるかな?と思いながら観てました。
主人公一家は結構都会で粘るんですけど、これが僕的に非常に良かったかなとおもいます。
現金しか使えない。
銀行が混む。
仕事ができなくなる。
お金のやりとりが何日か経ってくると物々交換になってきて、お金の価値が無くなる。
水か食べ物じゃなきゃ価値がない。
車は動かないから自転車が1番機動力が良い。
こういった都会での変化をしっかり描く事で、都会は電気無しでは生きてはいけないというのが納得できます。
でそっから外でサバイバルをしていくんですけど、おもしろい発想だなーと思ったシーンがいくつかありました。
途中トンネルを通るシーンがあるんですけど、電気がつかないんで、そら真っ暗でなんも見えません。
車にぶつかるし、なんか動物死んでるし、
もう通れないんです。
そこで、目の見えない人たちが渡しをやって、その代わりに物資をもらって生活してるんですよ。
アイディア自体おもしろいし、この世界では健常者が強いとは限らないというのも面白いおもろいなーと。
余談ですが、高速道路を大人数で歩くシーンがあるんですけど、どうやって撮影したのかすごい気になりましたし、他にもそう感じたシーン何個かありました。
どんぐらいお金かかってるんですかね?
結構大規模でやったんで結構かかってそうです。
メイキングちょっと見たいです。
あと最後らへんのあるシーンが非常に映画的で矢口監督らしいなーと思ったシーンがありました。
文明が崩壊した世界で最後は文明に救われるという展開。
素敵やん展開あります。
ただ文句もあります。
ちょっといろいろつっこみどころを感じるとこがありました。
サバイバル力がない家族にしても頭もうちょい使えなかったのかな?と。
車も動かないんだから飛行機もだめだとかんがえないかな?とか(確認のために行ったと信じます)
嵐だからって大事な食料とか眼鏡避難させないとか。
あと川はせめて服脱ごうよ(笑)
ちょっとご都合主義を感じてしまいました。
もともと『サバイバルファミリー』のアイデアを思いついたのは、機械が苦手だったからなんです。パソコンやモバイルが普及して、どんどん情報化の社会になっていくのを僕は取り残されるように見ていて、だから「そこまで便利になって、どこに良いことがあるんだ! 電気が止まったらお前ら見てろよ、どんな世界になるかー!」みたいな、逆恨みのようなことから、このアイデアを考え始めたんです。
でも実は、思い返してみたら自分もダメでした。だから、そのまま鈴木一家のお父さんに自分の姿を投影しています。
と矢口監督はインタビューで答えてましたが、面白い発想ですよね。
逆恨みされる世代の僕からすると、決して気持ちの良い映画ではありませんでした(笑)
そういう意味では矢口作品としてちょっと異質な映画だと思うんですが、ちゃんと矢口流の映画らしい映画になっています。
サバイバルファミリー、そして前作のWOOD JOBはお勧めですので是非!
作品評価
3.5/5